2019年11月14日木曜日

読書レビュー9 小腸を強くすれば病気にならない 今、日本人に忍び寄る「SIBO」(小腸内細菌増殖症)から身を守れ!



便秘や下痢、ガスなどの腸の症状は、だいたい大腸に対していろいろ対策を考えているものです。しかし!実は、小腸の方が原因となる場合もあった!というのがこの本で解説されてる「SIBO 小腸内細菌増殖症」という病気です。

簡単に紹介すると、SIBOとは小腸内に異常に細菌が増えることで、ガスが異常発生して下痢や便秘、お腹の張り、ガス、腹痛などの症状を起こす病気で、その原因や対策などが詳しく載っています。過敏性腸症候群と似ていますが、実際はこっちだったという場合と両方発症している場合があるそうです。検査方法も詳しく載っていますし、症状を悪化させる食物もしっかり解説してありますので、一読の価値はあります。

特に下剤を使うと全体の調子が良くなり、整腸剤を使うと逆に調子が悪くなるケースはこのSIBOの可能性が高いとのことで、自分もそうかもと思った方は、この本を読んだ上で検査を受けてみてはいかがでしょうか。


2017年9月26日火曜日

鍼灸院のホームページ wordpressへの移行

歌は世につれ世は歌につれといいますが、ホームページも時代とともに変わっていきます。特に去年あたりはスマホ対応をしないと検索順位が落ちると言われていたこともあり、当院もホームページの改造を余儀なくされることとなりました。

このスマホ対応というのは、スマホでアクセスした時に画面サイズや操作がそのスマホに最適な状態になっているということで、これをレスポンシブウェブデザインというそうです。これを自力で作成というのはあまりに大変でしたので、自動で実現してくれるというwordpressというホームページ作成ソフト(すごいざっくりとした言い方)へ移行しました。

同じことで悩んでいる人もいらっしゃるでしょうから、自分がどのようにwordpressへ移行したかの作業を、この投稿に記しました。なにがしかの参考にしてもらえばと思います。この投稿のタイトルもそのための検索ワード風にしました。

ただし!あくまで自分で作ったホームページをお持ちの方対象です。これからホームページを作る人や業者に作ってもらった人は、勉強する時間がもったいないので、再び業者に頼むかエキテンなどのポータルサイトを利用することをお勧めします。

その前に軽く当院のホームページの歴史を振り返ってみましょう。
当院は平成17年開業ですので、大体12年前。開業と同時にホームページも立ち上げましたが、その初代ホームページから今のホームページは4代目になります。

まず初代、開業時に作成したホームページです。
いやあ、今から思えば何と拙い。何せ初めてホームページを作ったものですから、全て手探り。ページ構成など考えるのが大変でした。テーマカラーも試行錯誤の末、赤紫~桜色に決めました。しかし、この時はレイアウトはテーブルタグ。時代を感じますね。

ただ、このホームページだと、コンテンツの追加など後からの変更がすごくやりにくいことに気づきまして、大改造を決心しました。

そしてできたのが2代目です。
レイアウトはCSSを使用。メニューを左端に集約して、追加しやすくしました。このホームページが一番長かったと思います。

さらに時が過ぎ、SNSが大流行、スマホも徐々に普及し始めました。そこでSNSを意識して作ったのが3代目です。

いいねボタンの表示やGoogle+との連携、将来のスマホ対応を考えてのレイアウト作成など、いろいろ取り入れましたが、果たして効果はあったのか。私自身SNSは面倒になって全然やらなかったですしね。

そして現在のホームページ、4代目。
スマホ対応が必須ということで、それまでのホームページビルダーからwordpressに移行、フリーのイラストなども使用して、雰囲気を変えてみました。

画面はこんな感じ。PCで見ています。

ちなみにスマホで見るとこんな感じ。

このようにホームページのデータは一つだけで、見る環境で自動的に変わるんですね。いやー、本当時代は変わりますなあ。

それでは移行する手順の説明に入ります。

まずwordpressの世界(言葉とか仕組み)を理解しましょう。
下記の本は、お店をやっている女性が初めてwordpressでホームページを作るという設定で、会話形式で解説しています。とてもわかり易いですし、必要なことは大体網羅されてますので、一通り読めば基本的な知識は身につきます。

いちばんやさしいWordPressの教本 人気講師が教える本格Webサイトの作り方 第2版 WordPress 4.x対応 (「いちばんやさしい教本」シリーズ)

石川 栄和,大串 肇,星野 邦敏 インプレス 2014-11-14
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ただこの本では一からホームページを作る前提ですので、今あるホームページをどうしたらwordpressへ持っていけるのかが分かりません。

そこで参考になるサイトがありました。
既存サイトをWordPressへ移行する方法

このホームページは電子書籍にもなっていますので、こちらの形態が良ければ以下のリンクから手に入れてください。ちなみにkindleがないと読めませんので、スマホなりPCにkindleをインストールしましょう。
既存サイトをWordPressサイトにする方法既存サイトをWordPressサイトにする方法
藤田ひろし

2015-05-21
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上記2つ、特に「既存サイトをwordpressサイトにする方法」をしっかり読み込んでおきます。そして以下の手順で作業していきましょう。

1. まずFTPソフトなどでホームページがあるレンタルサーバーのファイルをバックアップする。

2. サーバーの管理画面からwordpressをインストールする。その際今のホームページがある場所(ルート)にwpというフォルダを作って、そこへインストールする。

3. 上記2つの本を参考にしながら、初期設定を行う。

4. 外観(テーマ)を決める。最初からあるテーマはブログ用なので、インターネットから探して、いいと思ったテーマをインストールしましょう。ちなみに私は「いちばんやさしいWordPressの教本 」で紹介されているテーマを使いました。

5. とりあえず今のホームページの全ページを、それぞれwordpressの固定ページを作ってコピー&ペースト。ファイル名(固定ページ編集画面の上にあるパーマリンク)も元と同じにする。その際、初期設定ではファイル名に".html"がつかないので、「.html on PAGES」というプラグインを使って、つくように設定しておく。

6. 全部移し終わったら、スマホやPCのブラウザから"今のホームページのURL/wp"にアクセスして動作チェック。特にリンクの所はミスしやすいので、しっかりチェック。

7. OKなら、もう一度FTPソフトでサーバーの内容をバックアップ。

8. ここからがドキドキの作業です。詳しい手順は「既存サイトをwordpressサイトにする方法」に載っていますのでしっかり読み込んでおきます。ざっと説明しますと、ルート(今までのHPがあった場所)のファイルをwpフォルダ以外全部削除、wpフォルダの内容をルートへコピー。置換プログラムで全ファイルのURL部分を書き換え、というふうに進めます。

これで移行完了。PCやスマホからアクセスして動作チェックしましょう。繰り返しになりますが、本当にリンクでミスをしやすいので、念入りに調べましょう。

また、上記の本にも載っていますが、Google アナリティクスやGoogle Search Consoleに自分のサイトを登録して、エラーが出ないか数週間見守りましょう。私は最初リンクエラーを起こしまくって、訪問者数も激減しました。

ここまで読んで、全然わからん面倒くさ~と思ったらいさぎよくプロの人に頼みましょう。多少お金かかっても、そのぶん本業に集中したほうが絶対いいです。

2016年12月20日火曜日

読書レビュー8 誰にも尋けないおしりの難病

神経因性骨盤臓器症候群(NIS)という病気を提唱された、高野正博先生の一般向けの書籍です。

NISとは、肛門や直腸をコントロールしている仙骨神経の障害が原因で、肛門痛・便漏れ・ガス漏れ・残便感などの排便障害が起きる病気のことです。
実際これらの症状で悩んでいる方は大勢いらっしゃるのですが、どこの病院でも治療してもらえないどころか、そもそも理解してもらえないことが多いようです。そんな人向けに、なぜこの症状が起きるのか分かりやすく解説してあり、悩んでいる人は是非読んでみましょう。

内容ですが、まずNISの主症状(肛門痛、便・ガス漏れ、排便障害)が解説され、続いて各検査方法と高野病院で行っている治療法が述べられています。 内容も分かりやすく、特に次のくだり、
 ・神経の障害で、直腸肛門がうまく動かず便が出ない
 ・便を出そうと、下行結腸(大腸の左側)がぎゅっと収縮する
 ・便・ガスが通過できず、左上腹部にたまる
 ・その結果、お腹が張る、腹痛が起こる
などは納得される方も多いのではないでしょうか。


ただ個人的に惜しいなあと思う部分もあります。 一例をあげると42ページ、仙骨神経の圧痛について
この場合不思議なことに、右より左側の神経が悪い方が多く、左だけが痛む、また右より左の痛みが強いという方が多いのですが、この左右の差がどこからくるのかはまだ不明です。
という記述があります。

しかし私の臨床経験からこの左側を痛めている人は、ある特定の姿勢を取っていることが多いことが分かってきました。その姿勢とは左側に体重をかけて長時間座っているというもので、そのせいで左側の神経が常に圧迫されて痛みが引き起こされているようです。では何で左に体重をかけているのかというと、右手でペンを持ったりマウスを操作したりするとき、左のお尻に体重をかけているとやりやすくなるんですね。さらにこの状態でガスを気にしてお尻に力を入れていると、神経を締め上げるようになり痛めてしまうと思われます。


ところで私が最も注目したのが、第3章「おしりの自己臭症」です。
この章だけで実に59ページ、全体の34%、一番ページ数が多い章になっています。この力の入れ具合から、自己臭症の患者さんがいかに多いかが読み取れます。

ちなみに自己臭症とは、要は自分は臭いと思い込み、周りの人の行動全てを自分の匂いと結びつけて気に病むことで、口臭・体臭・腋臭などがきっかけとなることが多いと言われています。この本ではNISということで、おならや便臭がきっかけとなって発症するパターンが書いてあります。

この自己臭症というのは非常に厄介で、本来の定義から言うと匂いなどは単なる思い込みで、精神的な問題だけであるとされています。しかしこのガス臭・便臭の場合は完全に気のせいとも言えないんですね。
高野先生がこの本でお書きの通り、ガス臭や便臭がきっかけの場合は、そもそも肛門の括約筋がゆるい人が多いようです。このパターンでは普段は大丈夫なのにたまに匂いがしたりします。そうするとやっぱり自分はいつも臭いんだと確信し、周りの人のあらゆる行動は全て自分が臭いからだと決めつけてしまいます。
例えば隣の人がガムを食べはじめると、自分が臭くてその匂いをごまかそうとしているからだとか、お店に入った時たまたま入れ違いに出ていく人がいれば、それは自分が臭いから出ていくのだと思ったり。

こうなると、身体より心、すなわち認識の仕方を変えなければ良くなりようがありません。高野病院では検査をして肛門が緩んでませんよとか、水素ガスを注入して出ていませんよと確認してもらったりして、漏れていないと認識してもらい、少しずつ自信をつけていく方法をとられているようです。

NISの症状では肛門痛や便漏れがあるのですが、それらよりもこのガスや便の匂い漏れが最も患者数が多く試行錯誤しながらより良い治療法を研究されているそうです。


ただこの本の最後の章「おわりに」を読みますと
これは神経の痛みであることに間違いないと確信し、早速これを学会などで度々発表しましたが、全く信用されませんでした。
とか、
ところが、病院内の先生方にこの病気のことをお話しても、そんな病気は聞いたこともない、あんまり主張すると私はもとより、病院自体がおかしいの ではないかと思われるのは困る、ほどほどにしてくれと言われてしまったこともありました。
などの記述があり、他の医師の方からはなかなか理解が得られてないようです。何とかこの病気の理解や治療法が広まってほしいですね。

それにしても題名にある「尋く」という言葉、どこに行っても理解してもらえずひたすら病院を尋ね歩く患者さんの気持ちを代弁されているようで、先生の人柄がしのばれます。

2015年11月23日月曜日

読書レビュー7 女性外来の骨盤底筋トレーニング

突然ですが、皆さんは「いきむ」ということができますでしょうか。何を当たり前のことを、と言う人もいらっしゃると思いますが、開業してから結構このいきむということができない人に出会いました。特に若い女性に多かったですねえ。

例えば残便感を訴える人に、「いきんでも全く出ないですか。」と聞くと、「いきむって何ですか。」ときょとんとして聞き返されます。じゃあどうやって排便排尿しているのか尋ねると、何とトイレにじっと座ってだらだら~っと出てくるのをひたすら待っているそうです。いや驚きました。そらしっかり出きらないですな。

ちなみにいきむというのは、まず腹圧をかけ(お腹にぐっと力を入れる)同時に骨盤底筋群(肛門や泌尿器周りの筋肉)を緩めるという一連の動作になります。この緩めるというのが全くできないと、骨盤底筋群協調運動障害という状態になりますが、上記の人たちはここまでではなく、そもそも骨盤底筋群が意識できない状態だと思われます。例えば足の指でチョキやパーができない人、この場合は足の指の筋肉が意識できないので、指が動かせないんですね。同じように骨盤底筋群を意識していないと、どこの力を入れるのかぬくのかが分からず、いきむということ自体が分からなくなります。

ところで骨盤底筋群とは何でしょうか。それは骨盤底にある筋肉です。って身も蓋もない答えですが、それなら骨盤底とは何なのでしょうか。骨盤底とは…検索したほうがわかりやすいと思いますが…骨盤の下の穴、恥骨から坐骨、尾てい骨までを含む部分です。生殖器と肛門の周りにある筋肉と靭帯などから構成されていて、内臓を下から支えています。

一般的にこの骨盤底筋群が注目されるのは、緩み過ぎによる尿もれや便もれ、子宮脱などです。女性は尿道が短いため、骨盤底筋群が緩んでいると少し腹圧がかかっただけでも尿もれを起こします。また高齢の女性などで緩みがひどくなると子宮が体外へ出てきます。

これらの例は筋肉の力が弱まり、普段から緩んでいることにより起こる症状ですが、それとは別に骨盤底筋群自体は弱まっていませんが、あえて緩んでいる状態にしていることにより起こる症状があります。それがいわゆるガス漏れというものです。あえて緩んでいる状態というのは、骨盤底筋群を伸ばしている状態ということで、要は姿勢が悪いということです。

分かりやすい例を挙げましょう。あぐらをかいて背中をまっすぐ立てた姿勢で、おならをしようとしてください。出せる人もいるでしょうが、大抵は出しにくいです。この状態では肛門が緩みにくいからですね。そこで片方のおしりをクイッと持ち上げてみます。肛門が緩んで、無事おならが出せました。おしりを片方持ち上げるとそのおしりの方向へ骨盤底筋群が引っ張られ、結果緩んでしまうからなんですね。ということは左右に傾いて座っているなどで姿勢が悪い人は、常におしりの片方を持ち上げた状態なわけで、これではガスが来ても我慢できずに出てしまいます。

では対策としてどうしていけばいいでしょうか。それには次の3つのトレーニングが必要です。1番から順番に行っていきます。

1.骨盤底筋群をはっきり意識する
2.正しい姿勢を身につけて、骨盤底筋群のゆるみを防止する
3.ゆるんだ骨盤底筋群を鍛えて強さを取り戻す

いきむことが分からない人は1番のトレーニング中心で。
ガス漏れがある人は1番と2番を中心に。
尿もれがある人は1~3番を順にトレーニングします。

そして、具体的なトレーニングのやり方は?というところで、ようやくこの本の紹介になります。いずれの段階も具体的に写真やイラスト入りで、詳しく解説してありおすすめです。
1.の意識の仕方などは、女性限定ですが膣に指を入れるやり方まで載っていますので、誰にでもできるようになるでしょう。正しい真っ直ぐな姿勢も、写真付きでしっかりとした説明がついています。骨盤底筋群が気になるかた、上記の症状が気になるかたはぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

読書レビュー6 100歳までシャッキリ!! 座るだけ体操

当院には過敏性腸症候群の患者さんが多数いらっしゃるのですが、肩こり・首こり・腰痛の患者さんも結構いらっしゃいます。一方は内科でもう一方は整形外科的な症状ですが、両方に必ず共通していることは、皆さん姿勢が悪い!

デスクワークに人に顕著なのですが、骨盤が後ろに倒れ、腰が曲がり、背中が丸まり、肩が斜め前方に上がり、首を前に突き出し、顎を上げている、この姿勢が黄金パターンになっています。

この状態では、
首を前に突き出し顎上げ -> 首こり(特に首の付け根の後ろ側)
肩が斜め前方に上がる -> 肩こり(肩付け根と肩甲骨にかけて)
背中丸まり、腰曲がり -> 腰のこり(胸と腰の境目の少し脇腹より)とIBSガス型
骨盤の後ろ倒れ -> お尻のこりとIBSガス漏れ
というように各症状の原因となってしまいます。恐ろしいですね。

こりゃいかん姿勢を良くしなければ!でもどうやって?
という時にこの本がとても役に立つのです。

この本は薄めの小冊子と、ひめトレフィットと呼ばれる30センチ位のストレッチポールのセットで構成されています。内容としては高齢者の方向けに、骨盤底筋群と呼ばれる筋肉の鍛え方の紹介がされています。
ちなみに骨盤底筋群とは、胴体をビンに例えるとその底部分に拡がっている筋肉で、これらが衰えてくると尿もれが起きたり、姿勢が崩れやすくなるとされています。そのため高齢者の方は積極的に骨盤底筋群を鍛えましょうということで、トレーニングがいろいろと掲載されています。

ここで、最初に書いた症状とどういう関係がと疑問に思われるでしょうが、この本にはぜひともおすすめしたいポイントが有ります。それは正しい姿勢の写真が載っていて、正しい姿勢の解説があるというところです。
そもそも正しい姿勢とは、骨盤をまっすぐに立て、腰が前屈も後屈もしないように保ち、肩先が前に行かないよう少し胸を張る状態なのですが、こんなふうに言葉で説明しても大体の人は何かよくわからんという状態になると思います。
そういう時にはやはり百聞は一見にしかずで、掲載されている写真を見ればすぐ理解できるようになります。座位だけでなく立位の姿勢も載っていますので、正しい姿勢をマスターするのに非常に役立ちます。といっても1回では無理ですが、いろいろ試行錯誤しているとそのうちスポーンと重心がまっすぐ通るのがわかる時が来ます。上記の症状でお悩みの方は、ぜひこの本を参考に正しい姿勢を会得してみてください。

ちなみに付属のひめトレポールですが、長さ20センチほどのかまぼこ型のストレッチポールです。
これをお尻の真下に敷いて座ると、身体の傾きが強調されて分かるようになります。きっちりポールの上に乗っかっていると感じられれば、姿勢がまっすぐになっていますので、姿勢を正す訓練に最適ですね。

というわけで、ポールもセットになっていてお得な本です。姿勢に関心のある方におすすめです。

(2015/11/23 追記)かように自身を持っておすすめしていたのですが、アマゾンを見たところどえらい値段がついていました。確か定価は2000円以下だったと思いますので、高かったら本ブログの別記事、
読書レビュー7 女性外来の骨盤底筋トレーニング
に載せています本を参考にされてください。ただこちらにはひめトレポールがついていないので、必要な場合はタオルで自作するか、
ひめトレ公式サイト
こちらで購入されるといいでしょう。


2015年11月1日日曜日

読書レビュー5 今日のうんこ

凡そ人間の体から出るもので最も嫌われているであろう存在、それがうんこ。今回ご紹介する本はこのうんこに的を絞って、いろんな情報をコラム形式にして詰め込んでいます。著者は女性医師でかつタレントさんで、最近では金子哲雄さんが亡くなられた時によくテレビで見かけましたね。

で、うんこ。誰しも知っていますが、それについての基本的な知識、例えば主成分は何とか、形や色の違いはなぜ起きるのかとか、便秘や下痢になる仕組みとかを説明できる人は少ないのではないでしょうか。生まれてから死ぬまで食べる限りはずっと付き合いが続くのですから、知っておいて当然なのです!と言いたいところですが、普通は目にするのも嫌ですよね。でも知っておいて損はないどころか得をすることが多いので、ひとつこの本でうんことそれにまつわる腸や排泄などひと通り学んでおくといいと思います。

全体に平易に解説してありますので、興味のあるところから読んでも全然大丈夫です。そんな内容の中で個人的にいい情報だと思ったのは、

・便の色、形状を観察することが大事
日々排便したらすかさず下を覗きこんで形や色を観察しておくことを習慣にしておきます。すると体調の変化に応じて便がどのように変わるかが分かってきますので、逆に便がこんな状態だったら体調が悪いから気をつけようなど対策がとれます。

・日本人の便の量はアメリカ人の2倍
これでも差は縮まったほうで、戦前は4倍だったそうです。

・排便回数は重要でなく、快便であることが大事
1日1回に特にこだわらず、すっきりが大事。

・肛門括約筋の仕組み
詳しい説明は専門書しかなかったのですが、この本では分かりやすく解説されています。IBSに悩まれている方は一度目を通しておいたほうがいいでしょう。

・消臭効果があると言われている香りのエキスやサプリメントは効かない、腸で分解されてしまう
断言されてしまいましたね。消臭効果を発揮するにはその成分が便の中にとどまっていなければなりませんが、そこにいくまでに分解されてしまうそうです。一応著者も実験されています。

・どうしても匂いを減らしたければ完全ベジタリアン
臭い匂いというのはタンパク質が元になっていることが多いので、植物だけ食べれば牛や馬の糞と同じでそこまできつい匂いはしなくなります。

・おならが出やすい原因とは
いろいろ原因が挙げられていますが、私の意見としては原因の中の食品には異議があります。食物繊維が多いと出やすいと言っても水溶性食物繊維(海草など)はそんなにガス発生しないですし、発酵食品も原因になってますが、食べ物に含まれる乳酸菌などの菌が合えばかえってガスを抑えられます。でも合わないと確かにガスは増えるようです。

・外肛門括約筋のトレーニング
これ、私が思うに効果があるのは便や尿漏れに対してで、ガス漏れには効果がないと思います。ガス漏れの患者さんには一生懸命これをやった挙句、余計ひどくなった人が多いです。

まだまだ他に、おならのごまかし方・便秘がひどくなる食物繊維・IBSでは果糖制限で対策など一杯ありますが、興味をもたれたらぜひご一読を。
読書レビュー4 汚れた腸が病気を作るで触れた宿便についての解説もあります。

2012年11月5日月曜日

治療してみた!第2弾 良性発作性頭位めまい

自分で鍼灸治療やってみた!シリーズ第2弾は良性発作性頭位めまいです。ちなみに第1弾はhttp://hannari-hariq.blogspot.com/2012/06/blog-post.html こちらのお灸でできるうおのめ治療です。いきなりシリーズ化にしてしまいました。

鍼灸師が自らの身体を使って鍼灸の効果を実証していくこのシリーズ、自分で自分に鍼やお灸をしていますので、手段が限定されてしまいます。そのため多少過激な治療になったりしますが、実際にはもっと穏やかですので念のため。

さて今回の良性発作性頭位めまい、どういった病気なのでしょうか。
・ぐるぐる回る回転性のめまいが起きる
・頭を動かすことでめまいが起きる
・特に起床時に起きやすい
ざっとこんな特徴があります。詳しくは検索してみてください。

私もこれにかかっていました。よくある症状として、朝起きた時そのままコロコロと転がっていくんですよね。これはめまいが起きたことにより平衡感覚を失ったためなんですが、この時の目を他人が見ると、マンガのようにくるくる回っているそうです。さらに、転がってしまって慌てて立ち上がろうとするとまた転がっていきます。その様子はさながら柔道の受け身の練習を繰り返しているよう。起きたては寝ぼけているので、ついこういうことをやってしまいがちです。

この症状、身体を動かしていると治まるのでほったらかしにしていたんですが、だんだんひどくなりある日めまいが治まらなくなってしまいました。いやこれはえらいことで、結局その日の患者さんをこちらからキャンセル。我々のような商売にとってこれはありえないことです。とりあえず寝ていたら一旦治まったのですが、これは本腰を入れて治さないといけません。

まずは上記症状に加えて、どういう時に起きるのか分析してみたところ、
・疲れがたまると発生しやすい。
・飲酒した翌日に発生する確率が高い
・首と肩の凝りのきつさと連動している、特に首の凝りがひどいとほぼ確実に発生する
・頭の位置を上下前後より左右に変えたほうが、めまいが起きやすい

これらから東洋医学的には湿痰による眩暈と判断されますが、今回の場合自分で自分を治療します。いつものように背部はできないし、腕の部分も利き手側が正確にできません。

そこでトリガーポイントの考えを使ってみました。上記より首の筋肉、特に側屈や回旋に関わっている筋肉が怪しいことが分かります。
トリガーポイントマニュアルによると胸鎖乳突筋の鎖骨部でのトリガーポイント活性化により体位性のめまいを起こすとあります。しかし私の場合は、胸鎖乳突筋の停止部ならともかく鎖骨近辺は押しても何をしても特に変化がないようでした。
そこでいろいろ指で探ってみると、経穴でいう翳風と完骨の間、胸鎖乳突筋停止部の後縁、筋肉で言うと頭板状筋か頚板状筋に強い圧痛がありました。トリガーポイントマニュアルを見ると上部頚板状筋のトリガーポイントでめまいや眼の痛みを生じるとあります。どうやら私の場合こちらが原因のようです。

ちなみに絵で描いてみるとこのあたり。


この赤い部分を押圧すると激痛が起こりました。ただしこのポイントを探るときは姿勢に注意しなければなりません。一番出やすい姿勢は、枕無しに仰向けに寝て首を上記の図なら右に少し傾けてなおかつ顔は少しだけ左向きにすると分かりやすいようです。

ポイントが判明したので、早速治療に取り掛かります。普通首の刺鍼には1番か2番の太さの鍼を使います。この番号は小さいほど細くて、1番なら通常鍼治療に使われる太さで一番細い太さに当たります。首は敏感ですし、なるべく患者さんに痛い思いをしてもらわないためこのように細い鍼を使うのですが、今回は対象は自分です。何の遠慮もいりません。そこで使用する鍼は5番を選びました。これは通常お尻や腰に使う太さです。消毒も脱脂綿はもったいなくて使いません。直接首にエタノールをブシブシ吹き付けます。

というわけでおもむろに鍼を突き立て、がっつりと響かせて抜鍼します。写真を撮りたかったのですが、どうにも無理でした。これを左右に施術して終わり。シンプルですな。

さて、効果を調べるのですが、そのためにはできるだけめまいを起こすような状況にしなければいけません。私の場合上の方に書いてあるとおり飲酒、特に日本酒やワインなどの醸造酒を飲むと起こりやすくなります。したがって確実を期して帰宅後日本酒をベロンベロンになるまで飲みました。そして就寝。

翌朝目が覚めると、えいやっと気合とともに起き上がりました。…転がらない!おお成功!イヤッホォォ!良性発作性頭位めまいからの解放!頭ぶんぶん振り回しても大丈夫。しかも首が軽い!
1発で効きました。まだ凝り感がありましたのでもう1回鍼をしましたが、その後めまいは全く起きていません。

今回も無事治療成功しました。めまいで悩んでいる方で、図のような凝りがあったら指圧してみてください。楽になるようでしたらぜひお近くの鍼灸院で鍼をしてみることをおすすめします。